Vtuberには様々な者がいる。

人、人ならざる者、動物、物、はては概念まで、形態はさまざまといえる。

見る側はVtuberから得られる情報によって、そのキャラクター性を把握していくわけだが、姿かたちや声、設定もさることながら、「演じる」ことも見逃せない部分であるように思う。

 

私のような素人が「演じる」のなんたるかなど分かろうはずもないが、少しだけ考えてみたいと思う。

きっかけは、宮崎駿監督のアニメ作品だ。

宮崎駿はただのインテリにとどまらず、突き抜けてしまった人だ。観客に自分と同レベルのハイコンテクスト(共通の価値観や前提となる教養)を求める。

ただしあまりに腕が良すぎて、巧妙すぎて、それを読み取れなくともアニメを楽しめてしまうというのが、彼をして天才と言わしめるゆえんだろう。

 

宮崎駿のアニメ中の登場人物は、ときおり不可解な行動を取る。

彼ら彼女らはなぜそんなことをするのかほとんど語ろうとしないし、作品中でも説明をしないのだ。

なぜかといえば、物語は主人公の視点で進む。その主人公が知りえない情報は画面に映らないし、心の中も見えないからだ。

このことについて、以下のように岡田斗司夫氏が鋭く考察している。

 

明日放送される「もののけ姫」で例を出そう。

冒頭でアシタカが呪いを受けて、「おひい様」に村から出て西へ向かえば、呪いを解くカギがあるかもしれないと言われるシーンだ。

「おひい様」の顔はどこか虚ろで、アルカイックスマイルのような穏やささえ見えるが、これは本心を隠すためのポーカーフェイス。彼女の真の目的は、アシタカを村から追放して西の朝廷へ送りつけることだという。

 

なぜならばアシタカの呪いは解けないどころか、やがて呪いは身体を蝕み、アシタカを「タタリ神」にするからだ。

アシタカは次の長となる立場にあってカヤという許嫁がおり、村の危機を救ったというのに、呪いに囚われた。ナゴの守が石火矢の痛みと人間への憎悪でタタリ神となったと同様に、その不条理への憎悪と苦痛でアシタカが最期にはタタリ神となることを、「おひい様」だけが知っていたのだ。

 

また石火矢という鉄と火薬でできた武器は、アシタカたちエミシの世界観とは相反する、西から来たものだ。タタリ神を使った西からの呪詛とも言える。

かつての日本には「忌(いみ)返し」「呪詛返し」「式神返し」という呪術があって、呪いが飛んできたならばそれを相手に送り返さないと自分が死んでしまうと信じられていた。

つまりこれは異種文明間の呪術戦争で、アシタカはエミシから西の朝廷へ向けた「呪い返し」だったのだ。

 

もしかすると、アシタカが呪いを解けたあともサンとともに生きることを選び、カヤの待つエミシの村に帰らず、タタラ場にとどまったのもそういった意味があるのかもしれない。

 

このあと朝の雄大な山野の景色と美しい音楽のなか、エミシの村から出たアシタカの姿が描かれる。

このシーンを作るとき、宮崎駿は背景担当のスタッフと作曲を担当した久石譲にこんな趣旨の要望を出したそうだ。

 

アシタカは深い絶望と激しい怒りの中にいます。だけど、彼はそれを押し殺して黙って旅立つ。

そんな彼へのせめてものはなむけに、とびきり美しい背景と、いい音楽を作ってやってください。

 

このとき出来上がった曲の名は、「アシタカ聶記(せっき)」。

宮崎駿が考えていた「もののけ姫」の原題だ。

 

……こういった関係者の裏話や考察を聞かない限り、私のような一般人にはまったく読み取れない秘密が宮崎駿のアニメには無数に散らばっている。

ただ読み取れないながらも、どこかで引っかかりを感じる。腑に落ちない。

だから気になって見返したり、人と語ったりする。──いじわるな言い方をすれば、露骨につき出されると人は冷めた目で見るが、隠されている姿を知れば感動するものなのだろうか。「秘すれば花」だ。

 

「演じる」というのは、なにも目や耳から入るものばかりではなく、頭から入るもの──そのキャラクターを衝き動かす原理でもあるのかもしれない。つかみどころがないからこそ、その尻尾を捉えたとき、見る者は興奮するのだろう。

 

その域に私が達することはないだろうが、せめて露出させていきたいものだ。いろいろと。


参加者募集中!

現在のメンバー数:895
現在のグループ数:7
現在の記事投稿数:452
あなたもindiVTubersに参加して、個人VTuber界隈を一緒に盛り上げませんか?
デビュー済みの方は勿論、準備中、リスナーさんの登録も歓迎いたします!
登録&利用は完全無料です。詳しくはガイドラインをご確認ください。

スポンサーリンク


相互RSS
0 Comments

Leave a reply

ご意見BOX

何かお気づきの点がございましたら、お気軽にご意見をください。こちらから頂いたご意見は原則回答しておりませんが、全て目を通させて頂きます。

Sending

©2019 indiVTubers

Forgot your details?

Create Account